ハインライン『夏への扉』

夏が近づいてきたので、夏への扉を開いたが、来年以降は夏こなくてもいいかな、と思った。何せ暑いし。夏を満喫などするはずもないのだから、春でいい。春は良かった。春を満喫することとは花見というわけではなくて、すでに陽気が春だったと思うことで足り…

田渕直也『入門実践金融 証券化のすべて』

特別に語るべくもないというのが正直なところで、それはこういった入門書においては十分な誉め言葉として捉えてもらいたいのだが、それよりも田渕直也というひとは、デリバティブ関連の実務家向け入門書を書いている印象が強かったものだから、証券化につい…

女性声優アーティスト ディスクガイド 、 ドリカンからこむちゃへ アニソン黄金伝説!

声優の歌声にクオリティを問われるようになったのはいつの頃からか。アニソンではない、声優の歌声である。アニソンの長い歴史の中においてどこを境目にするか、は悩ましい問題だが、90年代半ばくらいを一つの時代の変節点とすることは多いのではないか。声…

太田智之『債券運用と投資戦略』

タイトルの通りで、テーマのひとつは債券運用に際して、そのバリューを、利回りをどう計算しますか、という問題について。価格は市場で売買されている限りは自動で算出されるけど、債券のクーポンと、現在の市場金利を鑑みたとき、その価格は割高なのか、割…

ロバート・ジャーヴィス『複雑性と国際政治』

ブクログ救済プロジェクト実施中です。 やや補筆しました。 複雑性と国際政治―相互連関と意図されざる結果 作者: ロバートジャービス,Robert Jervis,荒木義修,泉川泰博,井手弘子,柿崎正樹,佐伯康子 出版社/メーカー: ブレーン出版 発売日: 2008/03 メディア:…

J.D.サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』

ミスター・アントリーニに話したエピソード、主人公があることを話すのに対して、話がわき道に逸れると、「わき道!」と指摘する授業があって、それが厭で落第したが、とは言え、一貫性のない話は厭だ、という主張があって、本書における手法はそれに近い気…

ロバート・コヘイン『覇権後の国際政治経済学』

ブクログ救済プロジェクト中。 覇権後の国際政治経済学 作者: ロバートコヘイン,Robert O. Keohane,石黒馨 出版社/メーカー: 晃洋書房 発売日: 1998/08/10 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 1回 この商品を含むブログ (4件) を見る 1980年代アメリカの…

ケネス・ウォルツ『国際政治の理論』

もー、以下のリンク見てください。としか。 (ウォルツ『国際政治の理論』(1) - It’s Not My Blog Title) 何回かに分けて書いていますので、かなり長いですが。 こっちのブログは最近お休み中です。不思議とアクセス数はたくさんあるようなのですが。何か書…

野口雅弘『官僚制批判の論理と心理 デモクラシーの友と敵』

ブクログから救済。コピペ。 過去、色々なところにレビューを書いてきたので、集約したいなぁと思っています。 官僚制批判の論理と心理 - デモクラシーの友と敵 (2011-09-25T00:00:00.000) 作者: 野口雅弘 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2011/09/22…

くまなの『くま クマ 熊 ベアー』

「なろう小説」というジャンルがある。「小説家になろう」というサイトで掲載されるアマチュアの小説だ。人気作は多少の手直しの上で書籍化されるのだが、最近では完全になろうバブルが来ていて、ちょっとでも人気を博すとすぐに書籍化する。 ちなみに書籍化…

堤林剣『政治思想史入門』

堤林先生はコンスタンの専門家だが、コンスタンと聞いてピンと来るひとはほぼいないだろう。ルソーを批判したフランスの思想家で、日本語だと岩波文庫で『アドルフ』が唯一手に入れやすいものの、殆どの場合、手に触れる機会もない。アドルフ自体も文学なの…

キャロル・モンパーカー『作曲家たちの風景 楽譜と演奏技法を紐解く』

クラシック音楽をめぐる書籍は決して少なくない。大型書店に行けば楽譜コーナーも含めると広いエリアを占めていることが見て取れる。手に取ってみると、評論本も多く並んでいることが分かり、そのいずれもが、著者による己の独自の感性を活かした雑筆となっ…

オノ・ナツメ『ACCA』

ついにACCAが終わってしまった。オノ・ナツメ作品に通底する、男キャラのエロス。よく出ていたと思う。あまり武士のほうはその価値を分かってあげられないが(さらい屋とか、、、)、西洋の、鼻の高い男性キャラは何とも言えないのじゃーと涎を垂らしていた。…

現代小説クロニクル 2000~2004

良いシリーズだと思う。講談社文芸文庫は短篇のアンソロジーを定期的に出していて、この現代小説クロニクルは、そのなかの一環として5年区切りで名作短篇が集められている。 5年というスパンはかなり短い。純文学は時代を映し出すことも多いが、5年では時代…

小沢健二『Life』

小沢健二が復活したとのこと。印象として、あの時代に青春を迎えていたひとの象徴の一つであり、時代の寵児であり、逆を返せば、それ以外にとっては無関係なひと。私にとっては無関係のひとだった。でも、鷲崎健のヨルナイト×ヨルナイトで、オザケンという名…

遠藤周作『沈黙』

遠藤周作という作家は、文章の巧みな人だなぁというのが第一の感想だった。皆さんご存知の通り、江戸時代に入り、キリスト教は迫害された。宣教師ロドリゴ一行は、信仰に篤い宣教師フェレイラが日本で棄教したと聞き、その真偽を求めて日本は長崎に向かう。 …

小森晶『トレーダーは知っている』

タイトルが胡散臭くて、副題が「オプション取引で損をしない「法則」」となっている。きんざいのテキストなんだから当然なのだが、残念ながら本書を読んだところでそんな法則は載っていない。相場の見方とか、分析方法とかそんなものには触れるつもりも毛頭…

松本佐保『熱狂する「神の国」アメリカ 大統領とキリスト教』

アメリカ政治を理解するのに常に付きまとってくるのが宗教問題である。日本ではまだ馴染みの薄いロビー活動(当然日本にも利益集団はいるが…)において大きな役割を果たすキリスト教という姿を見ると、アメリカが先進国の中でも最も先進国的ではない国家だと感…

フォーリン・アフェアーズ 1月号

アメリカでトランプ大統領が就任してから一週間近く立つが、まだその全貌・思想は見えてこない。部分的には選挙戦通りに動き始めたのが分かるものの、では選挙戦の主張のうち、どこまでを実際に履行するのか、まだ知る由もない。いったいメキシコとの壁の費…

西田谷洋『ファンタジーのイデオロギー 現代日本アニメ研究』

新海誠が流行っている内に本書は紹介しておきたい。正確には、新海誠がというよりも、「君の名は」が流行っているというのが適切だろうが、それでも新海誠作品が社会現象にまでなるというのは驚きだった。秒速5センチメートルは、明らかに普段アニメを見ない…

佐藤亜紀『1809─ナポレオン暗殺』

タイトルの通り、ナポレオンを暗殺しようとするウストリツキ公爵に巻き込まれた、仏軍工兵隊パスキ大尉の話ではあったが、一方で暗殺に関する話ではない。公爵と接触してしまったために、警察や、公爵の愛人等々と関係を持つことになってしまい、いくつかの…

悠木碧『トコワカノクニ』

ピンク・フロイドは名盤『狂気(dark side of the moon)』を製作した後、かなりの迷走をしたらしい。電子楽器をひとつも使わずにアルバムを作ろうとか考えもしたが、結局、元フロントマンであるシド・バレットに捧げる『炎(wish you were here)』という、前作…

杉本浩一、福島良治、若林公子『スワップ取引のすべて』

私が元々持っていたのは第4版だったが、残念ながら最近第5版が出たとのこと。そこで、買い直してみたところ、割かし修正点は多かったので、概ね満足である。 デリバの世界では、大概スワップから勉強しましょうという古いセオリーがあるらしいものの、スワッ…

村田晃嗣『アメリカ外交 苦悩と希望』

トランプ氏が大統領選に勝利してからというもの、彼の今後の政策がどう出てくるのか、各長官の情報についての噂が出る度に大袈裟なまでに報道がなされている。大統領選で彼が主張していたスタンスと選ばれている人材にいったい整合性があるのか、あの選挙中…

黒崎輝『核兵器と日米関係 ─アメリカの核不拡散外交と日本の選択1960-1976』

1. シンゴジラ評論から twitterで著名のMValdegamas氏(旧・スースロフ氏)が、ブログ(シン・ゴジラ論のあとのシン・ゴジラ論 - Valdegamas侯日常)で書いたシン・ゴジラ評。政治史、外交史的な立場から評論した数少ないエントリーとして、ネット界隈で注目…

筒井清忠編『昭和史講義』

かなり気合の入った執筆陣による、戦間期についての論文集。 研究の最前線にいる研究者が、自身の専門について最先端の内容を盛り込んでいるため、生半可な気持ちでは読めないが、高校日本史程度の前提知識があれば、「あの時習った話は、最新の研究ではこう…

三井住友信託銀行マーケット事業『第6版 投資家のための 金融マーケット予測ハンドブック』

前のが消えてしまったので、再掲。 さして面白いわけではない。予測ハンドブックとあるが、別に予測に使えるわけでもない。GDPや様々な指標が発表されたときに、それがどういう意味を持つのか、あるいは今後どういう発表がなされるのか、ということを理解す…

ジョン・L.ガディス『冷戦』

前の記事で、dragoner氏の『安全保障入門』についてレビューした。そこで、やや歴史の叙述に難があった旨を書いたが、確認のために冷戦史入門として本書を読み返したところ、やっぱり面白かったのでここで紹介したい。 本書はこれまで、第二次世界大戦後のた…

石動竜仁『安全保障入門』

twitterで有名なdragonerさんがついに安全保障の入門書を新書で出した。 そもそもの彼の印象としては、ミリタリー界隈の人。私はあまり大きく専門が被る印象ではなく、安全保障「も」やっている人、というイメージ。コミケ90にて、同人誌『シン・ゴジラから…

蜂須賀一誠『為替商品取引の実務』

以前紹介したUBSの為替本は、どちらかと言えば金融マン向けの色合いが濃かったのに対し、本書は企業の財務担当者向け。輸出入のある企業にとって、当然為替リスクをどうヘッジするかというのは収益にダイレクトに影響してくるところであり、無視できない問題…