海外文学

ハインライン『夏への扉』

夏が近づいてきたので、夏への扉を開いたが、来年以降は夏こなくてもいいかな、と思った。何せ暑いし。夏を満喫などするはずもないのだから、春でいい。春は良かった。春を満喫することとは花見というわけではなくて、すでに陽気が春だったと思うことで足り…

J.D.サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』

ミスター・アントリーニに話したエピソード、主人公があることを話すのに対して、話がわき道に逸れると、「わき道!」と指摘する授業があって、それが厭で落第したが、とは言え、一貫性のない話は厭だ、という主張があって、本書における手法はそれに近い気…

カズオ・イシグロ『日の名残り』

古き良きイギリス、というのが時代の陰に退く中、社会を動かしてきたイギリス人に仕えていた、伝統と格式を備えた執事は、新たにその邸宅を購入したアメリカ人に傅く。そんな時代が本作の舞台である。 E.H.カーは、『新しい社会』(岩波新書)の中で、「今日…

ドン・デリーロ『コズモポリス』

自称・金融クラスタでもあるので、であれば一度読んでおこうと思って目を通したデリーロ『コズモポリス』。初デリーロ。ポール・オースターなんかと並んで(というのは、デリーロが『リバイアサン』でオースターに献辞しているから)、偉大なる現代アメリカ…