女性声優アーティスト ディスクガイド 、 ドリカンからこむちゃへ アニソン黄金伝説!

声優の歌声にクオリティを問われるようになったのはいつの頃からか。アニソンではない、声優の歌声である。アニソンの長い歴史の中においてどこを境目にするか、は悩ましい問題だが、90年代半ばくらいを一つの時代の変節点とすることは多いのではないか。声優ブームとしては第三次声優ブーム。これは、深夜アニメというものが出てきたタイミング と符合する。あるいは先駆けとしてのOVA文化まで遡っても良い。いずれにせよ、大人向けのアニメが作られ始めたことと関係しそうだ。(とはいえ、スラップスティックスもNG5もあったのだが)

本書は女性声優アーティストディスクガイドとあるが、声優を前面に打ち出すビジネスが始まり、声優にヴィジュアルが問われ始め、アイドルとしての役割が強まった90年代半ば以降が対象である。時代を通底してアーティストとしての第一線を行く坂本真綾の特集(坂本真綾名義で発売した全CDのディスクガイドとなっている)、椎名へきるのインタビューが掲載された後、時代ごとの各CDに対して1頁程度を割いて女性声優ディスクを紹介している。坂本真綾を冒頭に持ってくるあたり、明らかに、良質なポップスを提供するアーティストとして認識する編集方針になっていることが分かる。

世代的な好みは分かれようが、今の時代の一般的な認知度の高い水樹奈々とかを載せておけば安パイ、といった形になっていないことは非常にありがたい。最近のCDまで紹介があるが(+竹達彩奈のインタビュー付。ちなみに彼女のアルバムはあの筒美京平が楽曲提供している)、大量の声優が当然のようにCDを発売する昨今、売上ではなく、クオリティの高いCDを紹介してることも◎。音楽マニアにこそ向けたディスクガイドである。

 

女性声優アーティスト ディスクガイド

女性声優アーティスト ディスクガイド

 

で、なんで↓を急に紹介するかというと、逆にドリカン・こむちゃというのは、その時代のオタクに最も受け入れられた音楽を反映する音楽番組であり、掲載される楽曲の乖離ゆえである。投票を反映するランキング番組というものは、声の大きいオタクを掴まえているかどうか、が順位を上下させるという点で、純粋な人気ランキングとはズレてくる。しかし時代というか、ムーブメントを捉えるという点で言えば、実は向いているのではないか、などと思っていたりもする。たとえばtwo mixとかね。

で、名盤を紹介する↑とは違う、より時代の雰囲気を味わるのならば↓を補完的に読むと、アニソンの歴史の表と裏の両方が見えるという点で、より複層的な捉え方が出来そうに思ってます。

 

ドリカンからこむちゃへ アニソン黄金伝説!

ドリカンからこむちゃへ アニソン黄金伝説!