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UBS銀行東京支店外国為替部『プロ投資家のための外国為替取引』

10年以上前の本ではあるが、金融業界には、定番中の定番という本がいくつかある。そして、為替だったらいまだにこれだろうと思う。 何が優れている、というタイプの本というのではなく、またいわゆる素人向け、あるいは個人向けの証拠金取引FX向けではなく、…

カズオ・イシグロ『日の名残り』

古き良きイギリス、というのが時代の陰に退く中、社会を動かしてきたイギリス人に仕えていた、伝統と格式を備えた執事は、新たにその邸宅を購入したアメリカ人に傅く。そんな時代が本作の舞台である。 E.H.カーは、『新しい社会』(岩波新書)の中で、「今日…

池内紀『カール・クラウス』

池内紀という人の書くものは大概面白い。ドイツ文学まわりではピカイチだろう。その池内紀による若書きの著であり、「大学を出てから二年ほどして」「「教授資格取得の」ために」書いたものだそう。しかし、カール・クラウスという名前は、思想まわりを勉強…

ドン・デリーロ『コズモポリス』

自称・金融クラスタでもあるので、であれば一度読んでおこうと思って目を通したデリーロ『コズモポリス』。初デリーロ。ポール・オースターなんかと並んで(というのは、デリーロが『リバイアサン』でオースターに献辞しているから)、偉大なる現代アメリカ…