泰三子『ハコヅメ』

ほんとのところ、こういうモーニングがやりがちな、とある職業の大変な日常を描いて仄かな笑いと、過酷さで少しの同情を誘いつつ、ハートウォーミングなお情け頂戴で共感を煽るようなタイプの漫画って好きじゃないんですよね。それでも、Amazonレビューがそれなりに高評価だったので半信半疑で読んでみたんですが、これが抜群に面白くて驚いた。

とにかくコメディやるときの言葉のセンスが良い。上述したようなお仕事大変話もある。絵は下手で、身体の構造どうなってんの、とか目線はそれ何日先見てますか、みたいな感じの絵柄だが、これまたトンチキな言葉を発しがちなキャラクターと嵌まるのだ。

「ホラ 婦警さんってもっとこう 熊みたいな感じだと思ってたんで AVみたいな綺麗な人もいるんですね」とか

「それなら訓練内容をホットヨガとかに変えてくだせぇ」とか

「川合 大丈夫 いろんな鳴き声聞こえるけど ここはサバンナじゃないし さっき開けたのもどこでも行ける系のドアじゃない」とか

「遊び方が 昔のモンゴルの兵士と一緒なんだけど」とか

「手錠…拾え」(ねぇよそんな号令)とか。

しかし婦警は女子力低いから中身が熊みたいでモテない的なこと書いてるけど、このへんは、普通は男性目線の熊みたいな女性といったら物理的な見た目であるのに対して、何となくズレてる感じはある。