学園祭学園『嘘』

この曲が初めて世に出たのは、声優の浅沼晋太郎さんが参加する劇団bpmの舞台「TRINITY」の主題歌としてだった。その後、「アコギな夜」という学園祭学園がトリを務めるイベントで生演奏が披露された後、10月のヨルナイトフェスにて手売りでの販売が始まった。GRAPEVINE好きな感じがよく伝わる青木佑磨ソロ『逆様の顛末』から、学園祭学園『ユープケッチャ』と徐々に音源はポップに洗練されていき、そして本作「嘘」は、鷲崎健楽曲にも携わる杉浦"ラフィン"誠一郎をアレンジに迎え、聞きやすさが一段と改善されている。ライブでの音源を聞いていて、狭いライブハウスでの演奏ということも影響してだと思うが、もっと音数の多い印象だったので、CDを一聴して感じたのは、思ったより音が薄いアレンジになったな、という感覚だった。一方で鷲崎さんはヨルナイトのラジオで、思ったよりも早かった、という感想を述べており、もちろん自分の頭で描いていたもっと激しい印象が正解という訳ではない。編成が、ベース、ドラム(TRINITYバージョンでは生ドラムですらない)、パーカッション、アコギ、エレキギター(サポートメンバー)の五人だが、ライブと比べるとアコギを減らして、"ラフィン"さんのピアノが増えているだけで、もっと音を重ねられた中で恐らく意図的にシンプルな音作りに徹している。個人的にはもうちょっとガチャガチャやってくれた方が好みだったけど。

しかし本作の最大の名曲は4. gsgarchives_02だった。アコギな夜2016年1月(と言っていたと思う)の音源で、延々と酷い下ネタを交えた「複合謎掛け」を喋り続けている。とてもライブ中とは思えない長尺でのトーク(いつものこと)で、これが本当は間のもっと酷い部分を省略しているというのだから、その圧倒的なライブパフォーマンスぶりが察せられる。超ラジにゲスト出演した頃(逆様の顛末の頃)、或いはPOARO大喜利をやっていたとき、青木佑磨さんという人物が、こんなに面白いとは到底思わなかった。学園祭学園か、ヨルナイトという環境以外でも輝くのか、注目している。

嘘