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蜂須賀一誠『為替商品取引の実務』

 以前紹介したUBSの為替本は、どちらかと言えば金融マン向けの色合いが濃かったのに対し、本書は企業の財務担当者向け。輸出入のある企業にとって、当然為替リスクをどうヘッジするかというのは収益にダイレクトに影響してくるところであり、無視できない問題である。副題は「外国為替の基礎から管理の戦略まで」とある通り、基礎だけでなく、どのように為替のポジションを持ち、それをどのように管理するか、についての基本的な考え方が載っている。

直物、先渡(為替予約)、通貨オプション、通貨スワップを基礎として説明した後、 貿易編(管理体制、想定為替レート、ヘッジについて、ポジション管理について)、海外投資編(外債投資と、その為替ヘッジ、エクスポージャーのコントロール(リバランス)について)といったのが内容であり、カバー範囲は広め。

その分、実務ベースでどう財務管理をするか、エクスポージャーのコントロールをどうするか、と考えると本書では薄い。金融マンが営業をする際に、うすーく、幅広に、顧客の為替のポジション管理をイメージするために活用する方がもしかしたら有用かもしれない。

とは言え、本書は2013年執筆と新しい。ご存知、リーマン・ショック以降の円高推移を受けてADRが頻発したわけだが、為替ヘッジの導入の例として、長期ヘッジがリスクになることをはっきりと書いてあることは時勢に合っており、これはありがたい。(レバのつくデリバはヘッジには不適切、とまで書いてしまうのは、金融庁が認めている以上、やや踏み込みすぎの嫌いもあるだろうが…)

もちろん、FXの為替予想には役に立たないが、そもそもそれは範疇にない。

 

為替商品取引の実務

為替商品取引の実務