金融

橋本卓典『捨てられる銀行』

金融庁が改革を進めているというのは、経済ニュースをある程度追っていれば簡単に入ってくる。Fintechを原因とした銀行不要論も合わさり、まるで銀行とは悪の親玉かのように取り扱われている。 本書は、金融庁改革の先頭に立つ森長官の考えについて、様々な…

ジョン・ケイ『金融に未来はあるかーーーウォール街、シティが認めたくなかった意外な真実』

原題はOther People's Money、他人の金(副題 金融の実際のビジネス)。邦題は無闇に扇情的でかつダサいと思うのだが、こういうタイトルをつけないと売れないという出版社の判断なのだろう。まるで洋楽のアルバムのダサい邦題みたいだ。 さて本書は、FTなどの…

田渕直也『入門実践金融 証券化のすべて』

特別に語るべくもないというのが正直なところで、それはこういった入門書においては十分な誉め言葉として捉えてもらいたいのだが、それよりも田渕直也というひとは、デリバティブ関連の実務家向け入門書を書いている印象が強かったものだから、証券化につい…

太田智之『債券運用と投資戦略』

タイトルの通りで、テーマのひとつは債券運用に際して、そのバリューを、利回りをどう計算しますか、という問題について。価格は市場で売買されている限りは自動で算出されるけど、債券のクーポンと、現在の市場金利を鑑みたとき、その価格は割高なのか、割…

小森晶『トレーダーは知っている』

タイトルが胡散臭くて、副題が「オプション取引で損をしない「法則」」となっている。きんざいのテキストなんだから当然なのだが、残念ながら本書を読んだところでそんな法則は載っていない。相場の見方とか、分析方法とかそんなものには触れるつもりも毛頭…

杉本浩一、福島良治、若林公子『スワップ取引のすべて』

私が元々持っていたのは第4版だったが、残念ながら最近第5版が出たとのこと。そこで、買い直してみたところ、割かし修正点は多かったので、概ね満足である。 デリバの世界では、大概スワップから勉強しましょうという古いセオリーがあるらしいものの、スワッ…

三井住友信託銀行マーケット事業『第6版 投資家のための 金融マーケット予測ハンドブック』

前のが消えてしまったので、再掲。 さして面白いわけではない。予測ハンドブックとあるが、別に予測に使えるわけでもない。GDPや様々な指標が発表されたときに、それがどういう意味を持つのか、あるいは今後どういう発表がなされるのか、ということを理解す…

蜂須賀一誠『為替商品取引の実務』

以前紹介したUBSの為替本は、どちらかと言えば金融マン向けの色合いが濃かったのに対し、本書は企業の財務担当者向け。輸出入のある企業にとって、当然為替リスクをどうヘッジするかというのは収益にダイレクトに影響してくるところであり、無視できない問題…

UBS銀行東京支店外国為替部『プロ投資家のための外国為替取引』

10年以上前の本ではあるが、金融業界には、定番中の定番という本がいくつかある。そして、為替だったらいまだにこれだろうと思う。 何が優れている、というタイプの本というのではなく、またいわゆる素人向け、あるいは個人向けの証拠金取引FX向けではなく、…