日本外交史

吉次公介『日米安保体制史』

大体にして日米安保の歴史と言ったとき、その概念は多義的なのである。単純に安保を条約としての文言と捉えるのなら、歴史とはせいぜい成立と、改正以上の情報はありえない。しかし体制史と言うとき、恐らくそこには日米安保だけでなく、それによって成立し…

筒井清忠『戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道』

ポピュリズムが大ブームだった。 2016年頃、「2017年は政治リスクが多発する」みたいな言説が拡散したが、それは2016年の鏡像というか、Brexitとトランプ当選という想定外(と言っても世論調査では僅差だったはずだが)という事態を受けて、2017年も続くはずだ…

黒崎輝『核兵器と日米関係 ─アメリカの核不拡散外交と日本の選択1960-1976』

1. シンゴジラ評論から twitterで著名のMValdegamas氏(旧・スースロフ氏)が、ブログ(シン・ゴジラ論のあとのシン・ゴジラ論 - Valdegamas侯日常)で書いたシン・ゴジラ評。政治史、外交史的な立場から評論した数少ないエントリーとして、ネット界隈で注目…

筒井清忠編『昭和史講義』

かなり気合の入った執筆陣による、戦間期についての論文集。 研究の最前線にいる研究者が、自身の専門について最先端の内容を盛り込んでいるため、生半可な気持ちでは読めないが、高校日本史程度の前提知識があれば、「あの時習った話は、最新の研究ではこう…