政治学

阿南友亮『中国はなぜ軍拡を続けるのか』

君塚先生と合わせて、2018年サントリー学芸賞。また慶應である。 阿南先生自体は、20世紀前半の中国の共産党と軍隊について研究されており、その内容は非常に実直で手堅い。サントリー学芸賞をとるにしても、そちらの堅い方かと思いきや、本書のような、やや…

君塚直隆『立憲君主制の現在:日本人は「象徴天皇」を維持できるか』

今年のサントリー学芸賞。 天皇制のあり方についてホットなこの時期にタイムリーに出た、イギリス外交の専門家であり、日本随一の英国王室マニアとして名高い君塚先生による君主制本である。 自分はこうした事前情報があったので、そうだろうなと思ったこと…

池内恵『【中東大混迷を解く】シーア派とスンニ派』

池内恵先生によるブックレット企画。企画から池内先生が積極的に関与しているらしく、二年前に同じく新潮選書から出た中東大混迷を解くシリーズの二冊目になる。その前にも新潮選書では出してるので実質的には三冊目である。 正直言うと、あまり触れたくない…

加藤節『ジョン・ロック 神と人間との間』

加藤節という人は成蹊大で教えていたことから安倍晋三に指導し、彼は授業に出てなかったのに単位を取って卒業したと暴露して一躍政権批判側で祭り上げられることになったが、政治思想の業界ではジョン・ロック研究者として著名な人物である。ジョン・ロック…

筒井清忠『戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道』

ポピュリズムが大ブームだった。 2016年頃、「2017年は政治リスクが多発する」みたいな言説が拡散したが、それは2016年の鏡像というか、Brexitとトランプ当選という想定外(と言っても世論調査では僅差だったはずだが)という事態を受けて、2017年も続くはずだ…